2025年10月に専修大学出版局から『企業家像の経済思想−競争がつくりだす様々な〈企業家〉』が出版されました。
本書は、これまでの様々なる経済学説を再構成することで、企業家を中心としてどのような資本主義像が描けるだろうかという課題に挑戦したものです。具体的には、企業家によって形成される競争秩序(企業家競争)を通じた企業家活動・企業組織・経済システムの関係性の変容を、企業家を中心とした資本主義の特徴として論じております。また、本書の第6章では、企業家活動は必ずしも生産的な者ではないとするボーモルの議論を出発点に、企業家活動を4つに分類し(先導的、追随的、寄生的、保守的)、この4つの企業家活動の配分によって企業家競争の様相も変容するという点を指摘しております。この点は、企業家競争論、ひいては企業家社会像を考える上で重要な視点であると考えております。
本書はカーズナー、ナイト、シュンペーター、ペンローズ、ヴェブレン、ガルブレイス、ボーモルなど多様な経済学説を扱っていますが、単なる経済思想のアンソロジーに留まらないように、様々な経済思想からどのような企業家社会像が浮かび上がるのかについて考察を試みたものです。
ご関心のある方は、ぜひお手にとって見てください。
